【本を読もう】『水車小屋のネネ』(津村記久子)

いーちゃのONE PIECE

『水車小屋のネネ』
(著者:津村記久子)
(ナレーター:神崎壽美代)

Audibleにて12時間に及ぶ長編でした。
姉妹と姉妹に関わっている人々の40年間の物語です。
好き嫌いが分かれるかなぁとも思える作品でした。

母親の婚約者からつらくあたられていた18歳と8歳の姉妹が2人で家を出ます。
姉は自立し、「自分が妹の面倒をみよう」と決心します。

姉が仕事を探していたところ、住み込みで蕎麦屋の仕事と、水車小屋で蕎麦屋の蕎麦粉を引く石臼の番をしている「ヨウム」という鳥の「ネネ」のお世話をする人を募集しているのを見つけます。
2人はそこで暮らすことになりました。

水車小屋のネネは石臼の蕎麦の実がなくなると、「からっぽ」と喋って知らせます。
蕎麦屋の仕事の他に、「ネネ」の知らせで蕎麦の実を石臼に補充するというのが仕事です。
人の言葉を真似て話したり、人を認識して会話もできます。
言葉遊びなのか意味を理解しているのかはわからないけれど、人々を癒してくれる「ネネ」。
その日から蕎麦屋と水車小屋を行き来して働く日々が始まります。

ネネの周りにはたくさんの人が集まり、そこからまた人と人との触れ合いが広がり次々と繋がっていく。
優しい人たちに支えられ、助けられ、姉妹は心豊かに成長していきます。

その様子が文章で淡々と進んでいくのですが、感想の中に「つまらない」という意見もちらほら見かけました。
確かに地味に感じる人もいるのかもしれません。

でもその「つまらない」という感想を述べる人ほど、今の生活が当たり前に幸せな人なんだろうなと感じました。
当たり前の家族の愛情を受けられずに生きてきた姉妹にとって、平凡で地味に思える毎日でもそれが当たり前ではないのだ、と教えてくれるような気がします。

物語は静かに始まり、静かに終わっていきます。
人との出会い、出会いによって変わっていく人々の人生、人の生死。
始まりがあれば終わりもあります。

「自分はおそらく姉やあの人たちや、
これまでに出会ったあらゆる人々の
良心でできあがっている。」

「誰かに親切にしなきゃ、
人生は長くて退屈なものですよ」

最後は主人公が静かに笑ってる場面で終わります。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩を思い出しました。

「サウイフモノニ ワタシハナリタイ」

あくまでも個人的な感想ですが、姉妹が住んでいる街の澄んだ川の流れが聞こえてくるような、静かであたたかい物語でした。

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コメント

  1. (水車小屋のネネ)読んでみたくなりました。
    紹介ありがとうございます。
    トン子

    • コメントありがとうございます。
      トン子さんはきっと好きなジャンルだと思いますよ。

  2. 私の読書量はいーちゃさんの足元にも及びませんが、ふと数十年前の子供の頃の記憶を呼び戻すとこんな本を思い出す事ができました。
    にんじん。制服の処女。非色。氷点、、、これらはおさな心に、いじめ、差別、を強烈に感じた本の一部でした。私のその後の人生の価値観に少なからず影響しました。
    人間は平等?いや同等!

    本で考えさせられること限りないですね。
    これを機にジャンルに囚われず読書タイムを増やしていきたいと思います。
    とん子

    • 私の読書は下手の横好きみたいなもので詳しくもないし、書評するような知識は持ち合わせていませんが、ただ楽しんで感じて、心を動かすことを大事にしたいなと思っています。

      にんじん、制服の処女、氷点、懐かしいですね。
      とん子さんの影響で私も読みました。

      氷点がきっかけで三浦綾子さんの他作品もいくつか読みました。
      三浦さんの作品は数多く、図書館で借りた記憶があります。
      さらには北海道旅では『三浦綾子記念館』にもお邪魔しました。

      おすすめの本は、とん子さんには是非、三浦綾子さんの『塩狩峠』を読んで欲しいです!
      読んだことありますか?
      実話からの執筆です。
      償うとはどういうことか?
      胸をギュッと掴まれる物語です。

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