【本を読もう】『汚れた手をそこで拭かない』（芹沢央）

『汚れた手をそこで拭かない』
（著者 : 芹沢央）
（ナレーター : 野崎千華）

Audibleにて聴了。

5つの物語で綴られる短編小説でした。

人間の何気ない日常に起こり得る予想もしない出来事。

人にはそれぞれ人生があり、さまざまな価値観があり、たとえ家族であっても必ずしも寄り添えるわけでもない。
突然起きた死亡事故にはもしかしたら誰かの思惑があってのものかもしれない…

日常にどこにでもあり得るきっかけから始まる、人間誰しも持つ取り繕うためのずるさや言い訳。
相手を思いやるための嘘。
自分の幸せのための嘘。
ちょっとした嘘が大きな問題になっていき、何のために嘘を重ねるのか自分でもわからなくなっていったり。
「事実」と「保身」、もしかしたらその嘘に「賭け」てみたり。

凶悪な犯罪などではなく、本当に日常に起こり得る出来事だけど感じる恐怖。人間不信。

表現はひとつも恐さを感じないのに精神的にヒヤッとする、フィクションだけどノンフィクションと錯覚するような恐さ。

ツッコミどころもあったけれど、きっとそれは読み手の自分が冷静だから。
当の本人たちはパニックを起こしているせいで、本能的にあり得ない考えに陥るんだろうな。

この世でいちばん怖いものって。
やっぱり人間なのかもしれない😨

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