「かわいそう」なんて言葉、絶対にこの子たちに使いたくない。
朝井リョウさんの『世界地図の下書き』を読みました。

舞台は児童養護施設。
「施設の子どものお話」と聞くと、なんだか悲しくて泣けるお話を想像したりもしますが、この本は全然違いました。
とにかく子どもたちがタフで、かっこよくて、愛おしいんです。
もちろん、みんなそれぞれに小さな胸に傷を抱えています。
でも、それを大人が勝手に
「かわいそうな子どもたち」
と枠にはめて同情するのが、なんだかすごく失礼に思えてくる。
それくらい、彼らは自分の足でちゃんと立って前を向いていました。
子どもの真っ直ぐな言葉って、時に大人の胸にグサッと刺さります。
「あぁ、私のほうが世界を濁った目で見ていたかもな」なんて、ハッとさせられる瞬間が何度もあって。
気がつけば、大人の私のほうが救われていました。
そして何より、読み進めるうちに『世界地図の下書き』というタイトルの意味がじんわりと胸に染みてきます。
施設はいずれ卒業して、一人で飛び出していかなければならない場所。
いつか歩くことになる広くて厳しい「本番の世界(=世界地図)」へ向けて、仲間と泣き笑いしながら生きる術を学ぶ今の時間は、まさに人生の「下書き」を描いている期間なんだ、と気づかされます。
たとえ、自分の意志とは関係なく「最初の環境」を決められてしまっていたとしても。
これはまだ下書きだから、ここからいくらでも自分の手で線を修正して、新しい未来を描き直していける。
そんな子どもたちの強い意志が、このタイトルには込められていました。
最後にこの意味がストンと腑に落ちました。
「完璧じゃないこの世界だけど、悪くないかもな」
そんな風に、静かに背中を押してもらえる本です。
最近なんだか心がカサついているな、優しい気持ちになりたいな、という時にぜひ読んでみてください。
きっと、お気に入りの一冊になるはずです。


応援お願いします!
気が向いたらポチッとしていただけると励みになります。







コメント